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60日かけて、とぼとぼ進む。『とぼとぼリカバリー』レビュー 心の回復を描く、やさしくてポップなライフシミュレーション

60日かけて、とぼとぼ進む。『とぼとぼリカバリー』レビュー 心の回復を描く、やさしくてポップなライフシミュレーション

「今日は何ができるだろう。散歩か、日記か、それとも誰かに会いに行くか。」

『とぼとぼリカバリー』は、心身が限界を迎えた青年が、60日をかけて少しずつ自分を取り戻していく物語です。さまざまな人と出会い、話をして、言葉について深く考えながら回復へ向かっていきます。

テーマは心の不調ですが、そこまで暗くなることはなく、全体を通してポップなテイスト。 周辺を散歩したり、映画を見たり、本を読んだり。出会った人から得た言葉について深く考えてみたりと、少しずつ元気になっていく主人公の姿が丁寧に描かれます。

皆さん、「60日かけて心を回復させていく」やさしいライフシミュレーション、気になりませんか?

今回ご紹介する『とぼとぼリカバリー』は、りんだが手がけるアドベンチャー・シミュレーションゲームです。

PC(Steam・Windows/macOS)向けに2026年8月18日より配信開始。日本語に対応しており、8月25日まで15%オフの導入セールも実施中です!

『とぼとぼリカバリー』とは?

『とぼとぼリカバリー』とは?

『とぼとぼリカバリー』は、りんだが個人で開発・販売するライフシミュレーションアドベンチャーです。

心の中に静かに積もっていた重さから、長いあいだ目をそらし続けてきた主人公。物語は、彼が心も体も限界を迎えてから2週間後の時点で幕を開けます。そこから始まるのは、ずっとないがしろにしてきた自分自身を、もう一度見つけ直していく60日間の旅です。

ジャンルはアドベンチャー・シミュレーション。タグにはライフシム、心理、選択が重要、対話重視、哲学的といった言葉が並びます。

日記を書き、休み、人と会い、その日にできることを選ぶ。小さな行動を積み重ねていくうちに、主人公は自分の心の輪郭を少しずつ理解していきます。派手な展開はありませんが、だからこそ日々の小さな変化が愛おしく感じられる作品です。

ヨータロー

重いテーマなのにポップで軽やか。
とぼとぼ進んでいく感じが心地よいです!

ゲームシステム1:60日間、その日できることを選んでいく

ゲームシステム1:60日間、その日できることを選んでいく

このゲームの基本は、限られた60日のなかで「今日は何をするか」を選んでいくことです。

選べる行動は、だれにも見せない日記を書く、眠ろうとする、自分に優しいこと(散歩や動画、漫画など)をする、外出する、誰かと過ごすといったもの。

外出先には書店や銭湯、コインランドリーなど、日常の延長にある場所が並びます。

大きな目標をこなすのではなく、その日の自分にできることを選ぶ。この設計が本作らしいところです。

人と話すとこころが疲れてしまうので、散歩や日記でこころを回復させながら進めていきましょう。頑張りすぎず、休みながら前に進む。そのリズムを掴んでいくのが、このゲームの手触りになっています。

Everness to Everness

ゲームシステム2:こころを削りながら進む会話ミニゲーム

ゲームシステム2:こころを削りながら進む会話ミニゲーム

人と出会うと、会話ミニゲームが始まります。

選択肢を選んで会話を進めていくのですが、返答するたびに「こころ(HP)」を消費するのが特徴です。相手の満足度を上げていくとミニゲームクリアとなり、会話を最後まで見届けられます。

選択を成功させて最後まで話しきると、そこから「言葉」が得られる仕組みです。人と関わることは心をすり減らすけれど、その先に得られるものがある。この関係性がゲームシステムとして表現されているのが巧みでした。

こころが減りすぎると外出できなくなってしまうため、誰と会うか、いつ会うかを考える必要があります。無理に人と会い続けるのではなく、自分の状態を見ながら判断していく。その積み重ねが物語を前に進めてくれます。

ゲームシステム3:だれにも見せない日記と、こころに留めておきたい言葉

ゲームシステム3:だれにも見せない日記と、こころに留めておきたい言葉

本作の中核にあるのが、日記のシステムです。

海の底のように静かな心の奥で、自分の気持ちを言葉にしていきます。テキストと選択を通して振り返り、主人公と一緒に日記のページを埋めていく。この時間が、なんとも言えず穏やかです。

会話や休息を通して集まった「こころに留めておきたい言葉」は、日記のなかでその意味を掘り下げていけます。出会った人から得た言葉について深く考えてみることで、主人公は少しずつ自分を理解していくのです。

日々の行動によって「まあいっか」「自分を知る」「無理しない」「不真面目」という4つの考え方が育っていくのも面白いところ。完璧でなくても大丈夫と思えること、自分を守るために少しだけルールを曲げること。そんな価値観が、ゆっくり形になっていきます。

ヨータロー

日記を書く時間が本当に穏やか。
集めた言葉の意味を考えるのが、このゲームの醍醐味です!

『とぼとぼリカバリー』の面白いポイント

面白いポイント1:重いテーマなのに、暗くなりすぎないポップなテイスト

面白いポイント1:重いテーマなのに、暗くなりすぎないポップなテイスト

最大の魅力は、テーマの重さに対して作品全体がポップで軽やかなことです。

心の不調を扱いながらも、じめじめとした重さに沈んでいくことはありません。散歩に出かけたり、漫画を読んだり、銭湯へ行ったり。日常の小さな楽しみが丁寧に描かれていて、読んでいて息苦しくならないのがありがたいところ。

タイトルの「とぼとぼ」という言葉どおり、急がず、少しずつ前へ。そのゆるやかな歩調が作品全体を包んでいます。

面白いポイント2:4つの考え方が育っていく、独特の成長システム

面白いポイント2:4つの考え方が育っていく、独特の成長システム

パラメータの設計がとにかくユニークです。

「まあいっか」「自分を知る」「無理しない」「不真面目」という4つの考え方が、日々の行動と選択によって少しずつ伸びていきます。強さや能力ではなく、自分との付き合い方が育っていくというのが新鮮でした。

完璧でなくても「これでいい」と思えること。限界を超えて頑張らず、つらいときは休むこと。そうした価値観が数値として可視化されることで、主人公の変化が実感しやすくなっています。

面白いポイント3:プレイ前に知っておきたいコンテンツについて

面白いポイント3:プレイ前に知っておきたいコンテンツについて

本作には、開発者による丁寧なコンテンツ説明が用意されています。

作中には、心身の消耗や日常生活の困難、自己批判的な内省の描写が含まれます。一方で、服薬の描写や、自傷・暴力・性的描写といった刺激の強い表現は含まれないと明記されています。

また本作は医療的な助言や診断を提供するものではない、という開発者の姿勢も示されています。心の不調について個人的な経験がある方は、自分の状態と相談したうえで手に取るかどうかを判断してみてください。

こうした案内がきちんと用意されているところに、作品への誠実さを感じました。

ヨータロー

遊ぶ人への配慮がしっかりしているのが好印象。
作り手の誠実さが伝わってきます!

とぼとぼ歩いた60日の先に

とぼとぼ歩いた60日の先に

『とぼとぼリカバリー』は、心身が限界を迎えた青年が60日をかけて自分を取り戻していく、やさしいライフシミュレーションです。

その日できることを選ぶ日々の行動、こころを削りながら進む会話ミニゲーム、だれにも見せない日記、そして集めた言葉を掘り下げていく時間。重いテーマでありながらポップで軽やかな手触りが、この作品を独特のものにしています。

  • 「日常の小さな変化を描く物語が好き」
  • 「選択で心情が動くライフシム系のゲームに惹かれる」
  • 「言葉について考えるような、静かで思索的な作品を探している」

そんな方は、ぜひ主人公と一緒に60日間を歩いてみてください。とぼとぼ進んだその先で、どんな結末を迎えるのかを見届けてほしいところです。

ヨータロー

急がず、少しずつ。
そんな歩き方を肯定してくれる、やさしい一本でした!

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